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ニュース:2021年版の新規LMMA規約

News & Insights 5 May 2021

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2020年に選任されたロンドン海事仲裁人協会(LMAA)の仲裁人は3,010人で2015年以降では最多となり、依然としてLMAAの一般認知度の高さが確認されました...

Man standing in front of containers

はじめに

2020年に選任されたロンドン海事仲裁人協会(LMAA)の仲裁人は3,010人で、2015年以降では最多となり、依然として海運業界における争議解決におけるLMAAの一般認知の高さが確認されました。

LMMAは、「完全な」手続きのすべてに対し新しい規約集(2021年版LMAA規約)、2021年版LMAA中規模仲裁手続き、および2021年版LMAA少額仲裁手続きを公開しました。すべては2021年5月1日から効力を発し、同日以降開始される新規仲裁に適用されます。

一部の修正は規則の微調整にとどまる程度ですが、それ以外のものは、新型コロナウイルスの世界的流行から生じている最近の課題の観点から特に重要なものです。修正は、今回も品質管理主任David Owenの指揮下で行われ、修正済みの全規約と各手続きはLMAAのウエブサイトで公開されています。 以下の最新情報では、主な変更点と当クラブの観点からのコメントをまとめています。

LMAA規約

2021年版に盛り込まれた主な変更点は以下の通りです:

  • 仮想および準仮想聴聞会

最大の修正点は、改訂規約附則第六条での仮想および準仮想聴聞会実施についてのガイドラインの公開です。これらのガイドラインは、手配されるべき適切なレベルの技術サポート、電子バンドル(記録綴り)とその内容、会議の開催、「ブレイクアウト ルーム」などを含む聴聞会に必要な準備について有用な指示を提供しています。聴聞会においてすべての参加者が守るべきエチケットも明示されました。また、証人からの口頭証言の実施方法や必要となる衝立の数までにも言及されています。

  • 単独仲裁人の選任

一方の当事者が仲裁人を選任できない場合の単独仲裁人の選任手続きが簡素化されました。本規約では、LMAAの仲裁条項に定められた手続きを採用しています。新しい手続きは1996年仲裁法で制定された手続きと比較して迅速な手続きを可能にしており、一方の当事者が仲裁通知を受け取ってから14日以内に独自の仲裁人を指名しかつその旨を通知しない限り、他方の当事者が自らの仲裁人を単独の仲裁人として指名できるようになりました。本手続きは1996年仲裁法第17条に従っており、単独仲裁人の選任までに7日間の追加通知期間が設けられており、裁判所に選任無効の申し立てをすることも認められています。

  • 代理仲裁人の選任

LMMA会長は、当初の仲裁人が手続きを実行できない、あるいは聴聞会に出席できないことが明らかになった場合に、代理仲裁人を選任することが認められるようになりました。両当事者は今まで通り裁判所に代理選任を申請できますが、LMAA会長のこの追加権限により、仲裁がより効率的に行われるようになり、時間の損失や両当事者の支出費用を抑えることができます。

  • 裁定の電子署名

本規約では、裁定の電子署名が可能となり、両当事者には電子的な手段で通知されるようになりました。これにより迅速な準備と裁定の公開に向けた柔軟性が強化されます。両当事者は、電子証明された裁定が執行上の問題を起こす可能性がある場合、裁定に当初の手書き署名を求めるかどうか、裁定の発効前に仲裁廷に通知する責任があります。

  • 証人陳述

附則第四条に追加された新規パラグラフ(2(a))は、事実に基づく証拠の使用に関し、いくつかの有用なガイダンスを提供しています。この新規パラグラフでは、証人陳述は理想としては証人自身の言葉で行われ、事実に関する証拠のみを含むべきであることが強調されています。証人の陳述に含まれるものは事実に関する個人的な知識または記憶であり、陳述自体は事件の本質を論議するためには決して使用されるものではありません。今回の変更は、最近の英国高等法院での手続きの変更を部分的に反映しています。LMMAが定めるこういった要件からは間違いなく課題が生じることが予測され、海難事故直後に行われる乗組員の陳述の中でどのような言葉選びをするのが最適かといった点などが例として挙げられますが、本来の意図は、証人証言の起案プロセスに透明性を導入するところにあります。

ICPとSCP

LMAA中規模仲裁手続き(ICP)およびLMAA少額仲裁手続き(SCP)の修正事項のほとんどが、以前の規約の明確化である一方で、以下に取り上げられるような主な変更点も存在します:

ICP規約

2021年版LMAA規約(上記参照)での単独仲裁人の選任にするものと同じ簡素化手続きが盛り込まれました。

SCP規約

  • 理由付き裁定

両当事者が別内容で合意しない限り、「理由付き裁定」が基準となる大きな改訂が実施されました。ただし、SCP下での控訴権の除外は、依然としてすべての裁定に適用されます。

  • 費用の裁定

SCPは、プロセスの合理化と別途課される第二費用裁定の必要性を排除することを目的として、可能な限り費用の裁定は主裁定に組み合わせることとなります。

  • 単独仲裁人としての管轄権の保持

請求の性質および/または負担によりSCP適用が不適切とみなされる場合、単独仲裁人は単独仲裁人としての管轄権を保持し、”完全”なLMMAまたはICP規約下で手続きを継続するするよう命じることができます。

  • 少額請求料金

SCP料金の支払いは手続きを継続するための前提条件となり、仲裁人は、裁定が行われない場合でも、提供した役務の対価として料金から一定額を徴取できます。

コメント

この度更新された手続きは、新型コロナウイルスの世界的流行によりもたらされる可能性のある混乱を克服するための最近の進展および実務内容を反映しています。仮想および準仮想聴聞会の実施にむけた規定とガイドラインの取り込みは、変化する環境に対するLMAAの迅速な適応能力を実証しています。

単独仲裁人の選任、電子署名および代理仲裁人選任に対するLMAA会長への権限付与に関する変更といった手続き簡素化への継続的な努力は、LMAAでの仲裁手続きの柔軟性と効率性を高めるものです。ひいては、ユーザーの費用と時間負担を軽減することにもつながります。

このトピックについて詳細情報が必要なメンバーの皆様は、当クラブの通常の連絡先または本記事の著者にご質問をお寄せください。

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