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悪化し続けるロシアの侵攻行為に対する制裁
米国と英国はロシアのウクライナ侵攻を受けて2022年2月24日にさらなる制裁を発表しました。
米国と英国はロシアのウクライナ侵攻を受けて2022年2月24日にさらなる制裁を発表しました。制裁リストに追加される個人および事業体リストは着実に増えています。ロシアへの貿易を検討しているメンバーはこれらのリストを注意深く監視し、必要に応じて法的助言を求めることを強くお勧め致します。以下は2月24日に発表された制裁概要です。米国、英国、EUが2月24日以降に発表した制裁について別の警告が発表されます。
米国
ロシアへの有害な対外活動制裁プログラムの一環として、米国は大統領令14024号に従い2022年2月24日午後にロシアに対する新たな制裁措置を発表しました。(大統領令14024号については、 こちら より当クラブの過去アラートをご参照ください。)制裁措置は主にロシア金融部門とロシア政府に関係するロシアの個人を対象としています。また、米国はベラルーシがロシアのウクライナ侵攻を支援し促進したことを理由に、特定のベラルーシの政党を制裁の対象としました。
2月24日に発表された制裁は、非米国人によるロシアとの貿易を直接対象としたり、関係者が制裁を受けていないという条件で船舶が制裁対象外の貿易のためにロシア港湾に寄港することを禁止したりするものではありません。しかし、米国や外国銀行がこれらの制裁やその他制裁にどのように対応するか、従ってロシアとの貿易がそのような貿易に対する明示的な制裁がないにもかかわらず影響を受けるかどうか、またはどの程度影響を受けるかは明らかではありません。敵対行為が続く中さらなる制裁が予想されます。制裁措置の状況は依然流動的です。
以下は2月24日に打ち出された制裁措置の概要であり、米国当局が非米国人に対して発表したガイダンスも含まれています。詳細については、米国当局が発行したプレスリリースを こちらよりご覧ください。
2月24日に発表された制裁
米国はロシアの4つの金融機関(Novikom、Otkritie、Sovcom、VTB Bank)及びそれらが所有または管理する子会社を特別指定国民(SDN)に指定することにより、米国内に保有する資産が凍結され取引が認められない制裁措置(Blocking sanctions)を発令しました。したがって、米国銀行およびその海外支店を含み、米国人はこれらの銀行および子会社の財産および財産権を断つ必要があり、そのような取引が別途許可されない限り、これらの事業体が関与する米ドルの送金を処理することはできません。
取引阻止制裁に加えて、ロシアの特定金融機関が関与する取引に財政的制限を課すために大統領令14024号の下で2つの新しい指令が発令されました。
第2指令はコルレス勘定・ペイアブルスルー勘定制裁対象外国金融機関(「CAPTA」)を指定しました。2022年3月26日現在、この指令に従い、米金融機関がズベルバンクのために、もしくはスベルバンクに代わってコルレス口座またはペイヤブル・スルー口座を開設・維持、またはズベルバンクが関与するいかなる取引の処理もを禁止されています。3月26日をもって該当取引は米金融機関によって拒否される必要があります。
第3指令であるロシア関連事業体指令は、特定のロシア関連事業体に対する債務および資本の制限を拡大します。この指令は14 日を超える満期期間の新規債務、そして数ある中でもアルファバンク、ズベルバンク、ガスプロム銀行、ガスプロム、トランスネフチなどの特定されたロシア事業体の新規株式における米国人(米国銀行およびその海外支店を含む)による取引および新規取引を禁止しています。
一般ライセンス
上記の指定および指令と時期を合わせて、米国は「エネルギー」関連取引を含む特定取引を許可するロシア関連の一般ライセンスを数種類発行しました。一般ライセンスには以下が盛り込まれています。
- 一般ライセンスNo.12は、米国人が3月26日までにOtkritie、Sovcom、VTB Bank、またはそれらの子会社が関与する取引を(阻止とは違い)拒否することを許可します。Novikomは一般ライセンスNo.12では言及されていません。
- 一般ライセンスNo.11は、米国人が2022年3月26日までにOtkritie、Sovcom、VTB Bank、またはそれらの子会社が関与する取引を段階的に縮小することを許可します。Novikomは一般ライセンスNo.11でも言及されていません。
- 一般ライセンスNo.8は2022年6月24日まで制裁対象である5つの金融機関およびその子会社が関与する「エネルギー関連」取引を承認します。「エネルギー関連」とは、一般ライセンスNo.8で広く定義されており、石油の抽出や生産、精製、液化、ガス化、運搬、購入を含みます。石油には原油、リースコンデンセート、軽油、天然ガス液、石油製品、天然ガス液、石油製品、天然ガス、またはバイオ燃料の製造に使用される石炭、木材、農産物やあらゆる形態のウランなどエネルギーを生み出せるその他生産物が含まれます。5つの金融機関はOtkritie、Sberbank、Sovcombank、VEB、VTBBankです。
- 一般ライセンスNo.6は、ロシアへの、ロシアからの、ロシアを通過する農産物、医薬品、医療機器、または医療機器ソフトウェア更新の輸出や再輸出もしくは新型コロナウイルスの予防、診断または治療に必要で通常付随する取引を許可する標準的な人道的一般ライセンスです。
米当局によって発行されたガイダンス
2月24日に制裁と一般ライセンスに関する詳細ガイダンスを提供するために、米国財務省外国資産管理局(OFAC)はよくある質問(FAQ)の形式で公開ガイダンスを発行しました。FAQは こちらより閲覧可能です。FAQの中には非米国人に関する事項が以下にあります。
980. 非米国人は、大統領令14024号に従い制裁対象となった人との活動に従事したことで制裁を受ける危険はありますか?
OFACは外交政策および国家安全保障の目標と調和して制裁目標を策定する際にさまざまな要因を評価します。 取引阻止制裁という状況の中で、非米国人は 大統領令14024号に従って取引阻止制裁の対象となる人との活動に関連した制裁対象となる危険にさらされる可能性があります。 大統領令14024号のもと、非米国人が特定の活動、財産や財産権が大統領令14024号に従って取引が阻止された人もしくは(特定の状況では)取引阻止された政府のために財政的、物質的、または技術的支援、あるいはそれらの活動や人、政府に対して、もしくはそれらの活動や人、政府を擁護して物品またはサービスを実質的に支援、出資、提供した場合、制裁対象となる可能性があります。大統領令14024号第1節(a)(vi)および1(b)をご参照ください。
通常、大統領令14024号の下にある指令の禁止事項の対象となる人との取引関与について、非米国人は大統領令14024号に基づく米国の取引阻止制裁にさらされるリスクはありません。 さらに、通常、取引が米国人によって行われる場合特定の許可を必要としない場合の取引阻止された人との取引関与について、非米国人は大統領令14024号の下での米国の取引阻止制裁にさらされるリスクはありません。 ただし、大統領令14024号および大統領令14024号下にある指令は、これらの指令のいずれかの禁止事項、同様にそれらの指令のいずれかの禁止事項に違反するために形成された陰謀を回避または無効にする、回避または無効にする目的を有する、違反を引き起こす、または違反を試みる取引を禁止する点に留意してください。 OFACは、制裁対象であるサプライヤーやサービスプロバイダー(金融機関を含む)の代わりに制裁対象外の人物と交代することで米国制裁措置を遵守することを非米国人による「回避または無効」とする取り組みとは見なしません。
2022年2月24日 発行
FAQ980は他の制裁プログラムに関連してOFACが非米国人に提供した事前ガイダンスと一致しています。非米国人が取引阻止された事業体のいずれかに重要な援助を提供する場合、彼らは二次制裁のリスクに直面することを明確にします。FAQ980では、非米国人が米国人により活動に関与した場合に一般ライセンスの下で許可される活動に従事する場合は制裁のリスクを負わないことを明確にしています。
現在までのFAQやその他の公開されたガイダンスも、非米国人が大統領令14024号で取引阻止された事業体/人との取引に関して「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づく制裁リスクに直面しているかどうかを明確にしていません。CAATSAセクション228では、ロシアに関して米国により課された制裁対象となる人物のために、またはその代理として「重要な」取引を故意に促進したと判断された非米国人に対する制裁を要求しています。ウクライナでの敵対行為の結果として発表された制裁が、セクション228で説明されているように「ロシアに関して米国が課した制裁」の範囲内にあるかどうかは明らかではありません。
英国
英国は2月24日に以下を含む2回目の追加制裁措置を発表しました。
- ロシア国営銀行VTB銀行を含む多くのロシア銀行を英国制裁リストに指定。これは該当銀行の資産が凍結され、英国金融システムを通じて支払清算ができないことを意味します。
- 英国制裁リストに100人の個人および事業体を指定。これには、Rostec、Uralvagonzavod、Tactile Missile Corporation、United Aircraft Corporation、United Shipbuilding Corporationの5つの主要軍需会社が含まれます。
- ロシア企業とロシア国家が英国市場で資金の調達や負債を阻止する法律を導入。
- アエロフロート・ロシア航空の英国への着陸禁止。
- 軍事目的で即時に活用できる部品を対象とするロシアへの二重用途輸出ライセンスの一時停止。
- 電子機器、通信、航空宇宙分野で使用される高性能技術装置、および石油精製に関連する機器の輸出禁止。
- ロシア市民が英国の銀行口座に預けることができる預金に50,000ポンドの制限を設ける。
- ロシアのウクライナ侵攻に協力したとしてベラルーシに財政的制裁を課す。
当クラブは今後も状況を注意深く監視し今後の展開についてメンバーにお知らせ致します。ご質問などがございましたら、通常のクラブ連絡先までお問い合わせください。
カテゴリ: Sanctions, Ukraine / Russia