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ロシアーウクライナ紛争: EUの対ロシア第8弾制裁パッケージ採択
EUは2022年10月6日、ロシアのウクライナに対する継続的な軍事侵攻への対応として第8弾となる制裁パッケージを採択しました。
多くの規則と決定が発行されましたが(詳細は こちらでご覧いただけます)、当クラブとメンバーにとって特に重要なのは、EU理事会規則2014/833を再改訂した EU理事会規則2022/1904 (「同規則」)です。
同規則には、多くの新たな個人と団体の資産凍結を課すだけでなく、海運に特に関連する以下の規定を含んでいます。
ロシア船級協会
- ロシア船級協会は、同規則附属書XIXに記載されているロシア国有企業のリストに追加され、第5aa条に基づく制限の対象となりました。その結果、EU事業者は、ロシア船級協会との直接または間接的な取引が禁止されますが、2022年10月7日以前に締結された契約やその契約の履行に必要な付随的な契約の履行を可能にするため、2023年1月8日までの段階的な事業縮小期間が設けられています。
- さらに、ロシア船級協会によって認証を受けている船舶は、第3ea条に従って2023年4月8日以降EUの港湾に寄港することができなくなります。
鉄鋼製品
- 附属書XVII に掲げられている鉄鋼製品は、第3g条に従ってEU非加盟国を含むいかなる国への輸送も禁止されていますが、この鉄鋼製品のリストが大幅に拡大されました。
- 2023年9月30日から、第三国で加工されたものであってもロシア原産の鉄鋼を含む附属書XVIIに掲げられた鉄鋼製品の輸入または購入を禁止する新しい制限も追加されました。
- これらの規定にはすべて、EU事業者による保険および再保険サービスの提供の禁止を含みます。結果として、メンバーが当該規則の影響を直接受けない場合(例えばEU圏外に所在するため)であっても、当クラブがこれらの活動に従事するメンバーへのカバーを提供できない可能性があります。
- 特定の鉄鋼製品に関連する追加の除外規定・例外規定があります(改訂 第3g条で規定)。
製品リスト
- 附属書XXI に掲げられているロシアに大きな利益をもたらす禁止品目(第3i条)および 附属書XXIII に掲げられているロシアの産業力の強化に影響しうる禁止品目(第3j条)のリストが、いずれも大幅に拡大されました。ただし、両附属書の一部の物品については、2022年10月7日以前に締結された契約またはそれらの契約の履行に必要な付随的契約の履行を可能にするため、2023年1月8日までの事業縮小期間の対象となります。
原油および石油製品
- 同規則では、ロシアの原油および石油製品(総称して「ロシア産石油」)の輸送に関していくつか重要な説明が施されたほか、EU制裁がG7において計画されている価格上限設定にどのように関係してくるかについて発表されました。
- メンバーは、以前ご案内したとおり、ロシアの原油(CNコード2709 00)および石油製品(CNコード2710)のEU域内への輸送、およびこれらの貨物の輸送に関連する(再)保険の提供は、第3m条によって禁止されています。ただし、特定の状況下では、原油は2022年12月5日まで、石油製品は2023年2月5日まで適用除外が認められることになっています。
- これらの貨物のEU域外への輸送に対する保険および再保険の提供も同様に禁止されていましたが、第3n条により、いずれの貨物についても、保険契約が2022年6月4日以前に締結されている場合は2022年12月5日まで免除が認められるとされていました。すなわち、石油製品の輸送は許可されている一方で、石油製品への保険および再保険の提供は2022年12月5日より禁止されることになっていました。詳細は 2022年7月4日付のEUの第6弾制裁パッケージに関するIGサーキュラーをご参照ください。この脱落部分は同規則によって解決され、CN2710に該当するロシア製品の輸送に関連する保険および再保険の事業縮小期間は、2023年2月5日まで延長されることになりました。
- また、第3n条(3)は、保険契約が2022年6月4日以前に締結され、保険の提供が該当する事業縮小期間の終わりまでに終了しているという条件で、2022年12月5日以前のロシア産原油の輸送や2023年2月5日以前の石油製品の輸送に関連する保険金の支払いが認められることを明確にしています。
G7による価格上限設定
- 簡潔に言えば、メンバーは、G7が石油価格の上昇を抑えるために、ロシア産石油の世界市場への輸出を維持しつつ、販売価格に上限(価格は未定)を設定し、販売によりロシアが得る収入を制限する仕組みを導入しようとしていることを認識しています。保険会社および再保険会社は、上限価格以下で販売される貨物の輸送に保険を提供することが認められますが、逆に上限価格を超えて高値で販売される貨物の輸送に対する保険提供は禁止されます。
- このメカニズムがどのように機能するかについて詳細はまだ明らかになっておらず、当クラブはメンバーに改めて最新情報をお知らせいたします。しかし、同規則は、この価格上限設定がEU制裁措置とどのように相互に作用するかを規定しています。
- 現在のところ、ロシアの原油と石油製品のEU域内への輸送はそれぞれ2022年12月5日と2023年2月5日から禁止されますが、当該貨物のロシアから第三国への輸送は許可されます(ただし、EUの保険会社および再保険会社は、輸送のための保険を提供することができません)。
- EU理事会が価格上限について合意し、修正理事会決定の形で公表した場合、このような輸送は上述の日付から原則禁止されますが、EUの船舶が非EUの仕向地へロシア油を輸送することは認められ、またEUの保険会社および再保険会社は、1バレルあたりの購入価格が公表された価格上限を超えないことを条件に、EU船舶および非EU船舶による輸送に対して保険を提供することができるようになります。
- 上限価格が後日変更された場合、価格上限変更日以前に締結された契約については(その契約が変更前の価格上限を満たしている場合には)90日間の事業縮小期間が認められます。
- 最後に、第3n条の禁止事項は、海上安全に必要な水先案内人サービスの提供および附属書XXIXに掲げられているサハリン2プロジェクト(石油・ガス複合開発事業)における日本向け特定貨物の輸送には適用されないことが明確にされています。
EU制裁措置は以下の状況下で適用されることをご注意ください。
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- 領空を含む EU領域内
- EU加盟国の管轄下にある航空機内や船舶内
- 所在地を問わずEU加盟国の国民
- 所在地を問わず加盟国の法律に基づいて設立された法人、団体、組織
- EU内で全体または一部が行われる事業に関与する法人、団体、組織。
これらまたはその他の制裁措置に関して質問などがございましたら、通常のクラブ連絡先までお問い合わせください。
カテゴリ: Sanctions, Ukraine / Russia