Our new NorthStandard site is now live. There will be no new content or updates added to this site. For the latest information, please visit our new site north-standard.com.
ニュージェイソン約款の重要性を再確認しましょう
「ニュージェイソン約款」は、長年にわたり、私運送あるいは一般運送、特に米国法に関係するまたは米国に輸出入する船荷に関連する運送の場合に、契約書中に組み入れることが推奨されてきました。[1]
「ニュージェイソン約款」は、長年にわたり、私運送あるいは一般運送、特に米国法に関係するまたは米国に輸出入する積荷に関連する運送の場合に契約書中に組み入れることが推奨されてきました。[1] この約款の組み入れの慣行は非常に一般的で、ほとんどの船荷証券や用船契約はこの約款を何かしらの形で組み入れています。あまり頻繁には発生しないものの、用船や積荷関係者が、意図的にあるいはこの約款の必要性について混乱して、契約交渉の際にこの約款を削除しようとする場合があります。このアラートは、船主の皆様に、ご自身の契約にこの約款を取り込むことの重要性、とくに米国方面への貿易の際の重要性を注意喚起するものです。
英国法およびいくつかの国の法律の下では、船主または乗組員の過失により共同海損(GA)事故が生じた場合に、船主は、運送契約を規定する条約(ヘーグ・ルールまたはヘーグ・ヴィスビー・ルール)の下で同一の行為に責任を有さないことを条件として、積荷関係者からの共同海損分担を受ける権利を有します。典型的な例は、GAの原因となる事象が、乗組員による航海過失または船舶管理の過失により生じた場合です。そのような場合、ヘーグ・ルールまたはヘーグ・ヴィスビー・ルールの第IV条規則2(a)により(これらのルールが適用されるものとして)、運送人が航海過失または船舶管理の過失に対して弁明する責任を完全に負うため、船主は積荷関係者にGA分担を請求することが可能です。GA分担への船主の権利は、船主がその運送義務に違反したか否か さもなければ契約の条項または法令によりその過失の結果を回避できたかにより増減します。
米国法は異なります。米国法下での基本姿勢は、船主またはその代理人の過失または怠慢によりGA事故が生じた場合、船主には積荷関係者からの共同海損分担を受ける権利を有さないというものです。US COGSAが適用される航海であって、その怠慢や過失がCOGSAの下で抗弁を構成する場合も同様です。[2] ニュージェイソン約款の運送契約への組み入れはこの既定の規則を変更するものです。
標準のニュージェイソン約款は、その内容に関わらず、何らかの原因により、過失の有無に関わらず、法令、契約等により船主/運送人が責任を負わない結果となる事故が生じた場合に積荷関係者にGAの分担を求めることを確認するものです。したがって、ニュージェイソン約款が組み入れられていると仮定すれば、米国法下での立場は英国法と同様になり、運送契約に適用される条約により、例えば、船舶の堪航性を維持するためのデューデリジェンスを怠った場合など船主の過失が認められない限り、船主/運送人の過失により事故が生じた場合、積荷関係者はGAの分担を回避できません。
米国法下での立場を考慮すれば、積荷関係者に対する船主のGA回復権に米国法が適用される場合、運送契約にニュージェイソン約款を挿入することは慣習となっています。多くのGAがそれに従って裁定されるヨーク・アントワープ規則では、GA分担の権利は、航海の両当事者の一方の過失には影響されないとしています。しかし「これは、当該過失に関してその当事者に与えられた法的救済または弁明の機会に不利益を与えるものではない」ともされています[3] したがって、ヨーク・アントワープ規則を組み入れは、米国法下での立場をニュージェイソン約款と同様に変更できるものではありません。ヨーク・アントワープ規則を組み入れた場合であっても、ニュージェイソン約款の組み入れることが賢明です。
特定の除外を条件として、P&Iカバーは、メンバーが「運送契約の違反を単独の理由にする回復不可能な」積荷または他の当事者からの損害賠償請求を請求する権利を有する、またはその可能性があるGAの一部に対応しています。従って、ニュージェイソン約款を組み入れなかったことによる回復不可能なGA分担への補填は、運送契約違反に比べむしろ裁量的になります。
上記の重要な結論は、メンバーの皆様は、積荷関係者に対するGA分担請求に米国法が適用される場合あるいは米国へ積荷を輸出入する貿易の場合には、船荷証券と用船契約には必ずニュージェイソン約款[4] の標準的な、無修正の語句を組み入れる必要があるということです。 確信が持てない場合、あるいは定期傭船に世界的な就航範囲が定められている場合は、ニュージェイソン約款の組み入れを主張することがベストプラクティスです。
本記事は、一般的なガイダンスの提供を目的としており、特定の質問に対する法的な助言を意図するものではありません。本内容について追加の情報が必要なメンバーの皆様は、まず最初に通常のクラブ連絡先にお問い合わせください。
[1] 当クラブのウェブアラートをご覧ください: ニュージェイソン約款:その重要性に関する注意喚起 (2015年5月18日 ) こちらをクリックしてご覧いただけます。
[2] ヘーグ・ルールまたはヘーグ・ヴィスビー・ルールと同様に、US COGSAは、船主/運送人が船舶の堪航性を維持するためのデューデリジェンスを果たした場合に、航海過失または船舶管理過失あるいは非堪航性から生じる積荷の損失または損害から船舶と運送人を免責します。国際海上物品運送法(COGSA) § 4、 46 U.S.C. § 30701に再版、注意。
[3] ヨーク-アントワープ規則2016、規則D。
[4] BIMCOは、標準のニュージェイソン約款を BIMCOウェブサイト上に公開しており、 こちらからご覧いただけます。
カテゴリー: Cargo