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記事:「2022年を迎えるにあたって」Yves Vandenborn船長より
毎年この時期は、これまでに得た教訓を改めて考え、新しい一歩を踏み出すべく新年の抱負に想いを寄せるいい機会となりますが、
この点に関しては、Safety4Seaとのインタビューの中でスタンダードクラブのロスプリベンション責任者あるYves Vandenborn船長が、2021年を振り返りつつ世界の海運コミュニティ全体へ向けた新年のメッセージを送っています。
SAFETY4SEA:2021年について簡単に説明していただきたいのですが、振り返ってみるとどのような年でしたか?
Yves Vandenborn船長:「危機的状況」に見舞われた年でしたね。 2021年は海運業界が様々な問題に悪戦苦闘し続けた年でした。船員に対する待遇の悪さが一向に改善されなかった点は特に心が痛みました。乗組員交代に関しては、わずかに状況が改善されましたが世界中で引き続き問題となっており、船員は契約期間より長く船上で働いていました。残念ながら、これは船員の間で精神的な健康問題の増加につながっています。船員幸福度指数の調査結果は、船員が抱える不安を明確に反映しています。
S4S:2021年に海運業界で学んだ教訓は何でしたか?また、新年に向けて継続していくべきことは何でしょうか?
YV:思いやりの心で接するということですね。船員は海運業界の根幹を成す存在ですが、世界中に必要不可欠な物品を供給し続けるために必要となる船員の努力というのは十分に認識されていません。港に到着する際に彼らが受ける待遇のひどさは痛ましいものです。政府、国際機関、海運会社は、自ら掲げる約束を実行に移し、船員を「キーワーカー」として適切に認識する必要があります。
S4S:ご自身の専門分野に焦点を当てると、2022年の業界にとって最大の課題は何だとお考えですか?
YV:2022年の課題には、脱炭素化への取り組みと、船乗りになる意欲を持った新しい人材の確保が含まれます。世界貿易を語る上で海運輸送は非常に重要ですが、最近ではこの業界で働くということに対しては以前ほど魅力を持たれていないように思えます。船員や海運関係者の労働状況と併せて、海運全体の評判を改善する必要があります。海運貿易が世界に与える重要性と影響はもっと認められる必要があります。さらに、「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」と「海洋環境保護委員会(MEPC)」(執筆時点では結果は不明)の閉幕に伴い、海運業界は脱炭素化という大きな課題に直面するとみられています。
S4S:ご自身の組織における新年の抱負は何ですか?
YV:船員の労働条件の改善が必要とされる限り、船員の幸福に対する意識を高めるための私たちの取り組みは続くことになります。また、航行中の事故防止にも引き続き注力し、さまざまなコミュニケーション、イニシアチブ、カンファレンスでの講演を通じてこれを伝えていきます。
S4S:2022年に向けて、何を楽しみにしていますか?来年、海運業界で起きる変化として、実際に目の当たり̪にしたとしたら最も嬉しいことは何ですか?
YV:実際にその場所に皆が集まって会議が出来るようになったり、顔と顔を合わせて交流が再開できるようになるのは大歓迎です。2年以上のバーチャル会議、オンラインウェビナー、および在宅勤務を経験して、以前の私は人と人との交流を当然のことと思っていたことに気づきました。温かい握手を交わして食事と共にするといった事を通した、心のこもった人と人とのつながりに勝るものはありません。
S4S:来年の海運業界に一つの願いをかけるとすれば、何を求めますか?
YV: 船員をキーワーカーとして認め、彼らにふさわしい尊敬と尊厳を与えることです。記録的な用船料を目にした一年であるのに、これほど基本的なことが達成されず、来年への「願い」となったのは、反省させられますし、率直に言ってガッカリしています。
2022年に向けた海運業界の新年の抱負
- 繰り返す 必要・・・船員幸福に対する意識を高め、船員を重要視し続けるための努力
- 手放す 必要・・・「前からそうだったので」という理由で、ある特定の物事を変えることができないという精神
- 押し進める 必要・・・海運業界の脱炭素化へ向けた流れ
- 私たちは コミュニティとして 一丸となって取り組むことによって、成功を手にすることができるのです。
カテゴリー: Loss Prevention