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記事:固体ばら積み貨物の輸送 - 液状化と動的分離
背景本記事は、以下のリンク先の当クラブサーキュラーと併せてお読みください。
背景 本記事は、以下のリンク先の当クラブサーキュラーと併せてお読みください。 本記事は、上記ーキュラーに記載の以前の助言や要件に取って代わるものではありません。それらは引き続き有効です。 液状化は、特に特定の市場からのばら積み貨物の輸送に関して、引き続重大な懸念材料となっています。Intercargoの 最新レポート によると、2011年から2020年の間に、最も多くの人命を奪ったのは液状化現象であり、5隻の損失を出し、61名の命が失われました。これは過去10年間の人命損失の47.7%を占めています。その内訳は、インドネシアからニッケル鉱石を積んだばら積み貨物船3隻、マレーシアから鉄鉱石微粉末を積んだ船1隻、マレーシアからボーキサイトを積んだ船1隻です。 当時、ボーキサイトはIMSBCコード上では、液状化する恐れのない貨物(グループA)と化学的危険性のない貨物(グループB)であるグループCに分類されていました。2015年に発生した 「BULK JUPITER」 号の悲劇的な事故を受けて、国際海事機関(IMO)は、この事故が「動的分離」に起因するものであることを認めました。その結果、「ボーキサイト粉」(グループA)の新しい貨物スケジュールが作成され、それに伴い「ボーキサイト」(グループC)の既存の貨物スケジュールが改訂されました。 同様に、他のグループC貨物(例えば、ばら積み粘土貨物)がグループA貨物の液状化特性を示した例もあります。IMSBCコードでは「粘土」をグループC貨物としており、バルクで輸送する場合には液状化の危険性がないことを示していますが、2020年12月17日にマレーシアから香港に向けて航行中の一般貨物船(「XIN HONG」号) が損失を被ったことは、液状化の危険性が微粒子の割合が高いすべての貨物に適用される可能性があることをうかがわせます。 IMSBCコードに基づく荷送人と船長の義務 IMSBCコードの1.2項に記載されているように、IMSBCのスケジュールに記載されている貨物特性はガイダンスのみを目的としています。そのため、船積みされる貨物の物理的・化学的特性について、荷送人から最新の有効な情報を得ることが重要です。 IMSBCコードの第4節では、貨物に関する情報を提供するために荷送人に課せられる義務と責任を定めています。これには、液状化する可能性のある貨物の含水率と輸送可能な水分の限界値を試験、分析するための要件と手順が含まれます。第4.3.2節および第4.3.3節は、貨物の含水率をサンプリング・試験・管理するための現地の(そして多くの場合は荷送人の)手順を管轄当局がチェックし、承認することを要求しており、メンバーの皆様にはご留意いただくことをお勧めします。 同時に、安全で適合性のある貨物だけを積載させることは、船主(実際には船長)の義務です。船長または本船の代理人は、上記の必須の貨物情報をすべて書面で入手するまで、船積みを開始してはなりません。船長またはその代理人は、船積み作業を最初から最後まで監視する必要があります。船長は、貨物の状態が本船の安全性に影響を及ぼす懸念がある場合、貨物を船積みしない、および/または貨物の船積みを停止するSOLAS上の最上位の権限を有します。 様々な船積み港での懸念点 マレーシア、インドネシア、フィリピン、ニューカレドニア、グアテマラ、ガイアナ、トルコ、アルバニア、モザンビーク、西アフリカ(モーリタニア、コートジボワール、シエラレオネ、赤道ギニア)の複数の船積み港での主な懸念事項は以下の通りです: 1. 現地管轄当局による法施行の欠如 IMSBC コードの第4.3.2節および第4.3.3節に基づく、貨物の含水率のサンプリング、試験、管理に関する荷送人の義務について、船積み港の管轄当局による監視および/または承認が一貫して実施されていません。 2. 荷送人の証明書 鉱山は、「自社」試験所を保有している場合があります。適切な試験装置が利用可能であり、十分な状態であるか否か、あるいはIMSBCコードに定められた手順に従っているか否かを判断することは、しばしば不可能です。そのため、試験結果の信頼性が低くなる可能性があります。認定された検査機関で結果を得るためには、貨物のサンプルを海外に送る必要があります。その場合は、輸送中に水分が失われないようにサンプルを梱包・密封するための助言を受ける必要があります。 3. 船積み場所と貨物備蓄場所 鉱山は多くの場合遠隔地にあり、貯鉱場にはほとんどの場合覆いがないため、風雨にさらされることになります。鉱石は採掘時に濡れていたり、露天の貯鉱場に放置されると濡れてしまうことがあります。荷受人によっては船積み前の天日干しを強く求める場合もありますが、その効果は疑問です。貯鉱場の検査は、しばしば現地の鉱山/荷受人に断られます。 4. 艀からの積み込み 多くの場合、適切な設備がないため、停泊中の船舶には、十分な覆いがない貯鉱場からの鉱石を積んだ艀から積み込まれます。また、船に積まれた鉱石も風雨にさらされていた場合もあります。その場所に複数の船が船積みをしている場合、ある船が拒否した艀が別の船に船積みすることも珍しくありません。艀からの鉱石の受け入れ可能性を評価する際には、慎重なアプローチが必要です 5. 異常気象 近年、雨季の延長や季節外れの豪雨、熱帯性暴風雨の頻発など、気象状況の変化が多発しています。覆いのない貯鉱場に大雨が降ると、液状化のリスクが高まります。 6. 貨物のサンプリングと試験 IMSBCコードは、含水率の試験は、船積み日から7日以内、または降雨後に行うことを要求していますが、多くの場合、これは遵守されていません。 7. 缶焼試験 このような試験は初歩的な指標に過ぎないにもかかわらず、缶焼試験の結果に基づいて貨物が船積みされることが頻繁にあります。IMSBCコードには缶焼試験の限界が明記されており、満足のいく缶焼試験であっても、その貨物が安全に輸送できることを意味するものではありません。 8.商業的圧力 当クラブでは、貨物の状態に合理的な疑念があっても、乗組員に貨物を受け入れを強要する商業的圧力がかかる事例をしばしば確認しています。 予防措置
メンバーが当クラブに通知したという事実は、意図された航海に対する当クラブの承認を意味するものではなく、また、IMSBCコードを完全に遵守し、安全な輸送を確保するために必要な措置を講じるというメンバーの責任を免除するものでもありません。 当クラブのカバー 船主/メンバーの皆様には、インドネシアまたはフィリピンの港からニッケル鉱石を積み込むために船舶を固定用船または定期用船することを計画している、および/あるいは、船へのニッケル鉱石の船積みを求められたことを管理者に通知しなかった場合に当クラブのカバーを損なう可能性があることを認識していただく必要があります。当クラブは、船長を補佐するために、船積みに先立って本船の代表としての調査員を任命する権利を留保します。
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カテゴリー: Cargo